幻想世界STELLA公開を終えて
8か月もの間作り続けた「幻想世界STELLA」がいよいよ公開となりました。
たくさんのことを詰め込んだ世界となり、景色、音楽、仕掛け、間違いなく最高傑作だと思っています。制作後記はFANBOXのほうで書いたので、こちらでは少し攻めた内容を書いていこうと思います。あまりそういう攻めた内容が好きじゃないよ、という方はここで回れ右です。
◆幻想世界STELLAは俗にいう死にゲーです
Pandoraは謎解きワールドでしたが、STELLAには謎解きがありません。では、攻略がすぐに終わるのか、簡単に進めるのか、というと違います。
Oriシリーズやダークソウル、Bloodborneを強く意識した内容になっています。
綺麗な景色とは裏腹に、かなりシビアで危険な冒険が繰り広げられていくことに、多くの方が戸惑い困惑している様子を見てきました。
8か月という長い制作期間をかけているのに、一晩で終わるようなコンテンツをリリースするはずがありません。
むしろ、そう簡単にはクリアさせないぞ、という気持ちで作っていた、といってもいいかもしれません。
根気強く攻略を楽しんだ結果、そこにはたくさんの感動と驚き、VR体験があります。
こういったいわゆる死にゲーがそもそも馴染みの無い方や、普段カジュアルにお部屋でフレンドと話すことがメインだったプレイヤーには、ものすごく異質なコンテンツに思えてしまうのかもしれません。肌に合うか合わないかはそれぞれですね。
厳しい条件下で、トライアンドエラーを繰り返し、やがて達成した時のやってやったぜ感。
死んだら戻される。その極限の緊張感があります。
道中で惜しくもダメージを受けてものすごく最初のほうに戻されてしまって愕然とし、戦意喪失した人をたくさん見てきました。険しい旅路なのです。
◆世界観を重視するということ
MinaFrancescaの創るワールドはいつも眩しい、ブルームが効きすぎている、なんて話を見かけます。ブルームを切れるようにしてほしい、なんていう意見もあります。
でもこれは違います。
人がたくさん集まることを想定しているワールドでは、画面効果を切れるスイッチを設置していたり、そもそもブルームは最小限に抑えて制作しています。
逆にPandoraやSTELLAのような、世界観重視の場合には、画面効果をよりリアリティと綺麗さが感じられる設定にする、という使い分けをしっかりと実施しているのです。
世界観を重視しているワールドでは、自分の基準をワールドに持ってくるのではなく、世界に自分が入り込んだんだ、という認識で、ワールドを基準にして向き合ってもらえたらいいなと思います。
◆たくさんの新規プレイヤーがSTELLAを知り、Pandoraを知った
Pandoraを踏破してきた旅人にとってはSTELLAは、MinaFrancescaが創る最新ワールドであり、待ち遠しいコンテンツだったと思います。
一方で、Pandoraをまだ知らなかった人が、STELLAという800M越えのオープンワールドがリリースされたことをMoguraVRの記事やTwitterなどで知り、いったいどういうことなのかと興味を持ち、STELLAを通してPandoraを知る。そしてMinaFrancescaという人が同じVRCに居るんだということを知る。
これからどっぷりとはまっていく人もいれば、残念ながら肌に合わない、という人もいると思います。私自身も万人にうけるものを創っているつもりはないですし。
今回STELLAを知り、Pandoraを知って、既に途方も無い程に広がった世界があるのだということを知って、世界を旅していく覚悟を持つ。そんな旅人がほんの数人でも現れてくれたら、STELLAを創ったかいがあるというものです。
◆ある程度の不親切さ
いろいろな思いからある程度不親切な設計をすることを意識していました。
スピードランとクイックメニューの出し方が最初に案内版で掲示されているだけです。
例えばロープグライダーの乗り方、ジャンプ台、何が危険なオブジェクトなのか。スターピースがHPであること。また、それが全プレイヤーで共有されていること。
いろんなことがほぼ解説されないまま路が続いていくのです。
案の定、道中で路をそれたらおそらくレッドクリスタルか赤い植物でしょう、ダメージを受けて家まで戻されるプレイヤーや、毒ガスが充満している湖にダイブして家に戻されたプレイヤーがあとを絶ちません。
しかしそうして気づくんです。この世界が思っていた以上に危険で、不親切で、攻略が難しい場所なのだということを。何もかもが手探りで察していかなければいけないんだと。
しかしこれがいわばVR適正というものなのではないかなと自分は思っていて、おそらくSAOのようなVRMMOが本格的に世に出てきたら、そんな親切なチュートリアル看板なんて無く、突然世界に放り出されて、突然剣を振り回さなければいけない。そうして生き残る殺伐感。
あきらかにやばそうな色をしたものに触れてはいけないし、緑色のガスが充満している水にいきなり飛び込んでいいわけがないのです。
本当は高所から飛び降りたらダメージ、というのも検討していたくらいです。VRCでは皆さん軽々と崖の上から飛び降りることに慣れてしまっていますが、それが本来やばい行為であるということ。そういった感覚を思い出させてくれる不親切設計になっています。
家に戻ってこれるだけありがたいのです。SAOだったら実際に死んでるわけですから・・・。
ただし、ボス戦はすぐにリトライ出来る親切設計になっています。これはOriシリーズと同じですね。スムーズにボス戦をやり直せます。
攻略困難な場所であると気づいて、気を強く持って立ち上がるか、その不満をツイートで愚痴るか。私なら立ち上がり進むことを選択します。そのほうがかっこいいはずです。
◆STELLAの次に来る世界とは
Pandoraは謎解きワールドでした。STELLAは謎解きワールドではなくアクションアドベンチャーのワールドでした。
さて、ではこの次にやってくるMinaFrancescaの世界ってどんなものだろう。
難解な謎解きと危険な道のり。立ちふさがる敵、追いかけてくる脅威。
そのすべてが、Pandora LastEpisodeに結集します。
めぐるは知識を。アリアはその機動力を。
ふたりが真に力を合わせて、最後の世界が紐解かれていくことでしょう。
STELLAを知り、Pandoraを知った新しい旅人さんで、この壮大なスケールで築き上げられた世界をこれから探索していくんだ、というワクワクドキドキな気持ちがいっぱいならば、その素直な冒険心をそのまま持ち続けていってほしい。その真っすぐに世界を楽しむことが出来る感性があれば、これから先の冒険はきっと有意義なものになっていくと思う。
不親切なポータル、不親切な設計。それらがどうして不親切であったか。
もうその意図を語る必要はないだろう。